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AGM-88は、アメリカ海軍のNWC(Naval Weapon Center、海軍兵器センター)とアメリカ合衆国のテキサス・インスツルメンツ社が開発し、レイセオン(当初はテキサス・インスツルメンツ)が生産している対レーダーミサイルである。 A-D型までは「HARM」(High-Speed Anti Radiation Missile)の名称で呼ばれているが、最新のE型は「AARGM」(Advanced Anti-Radiation Guided Missile)と呼ばれる。 == 概要 == アメリカ空軍、アメリカ海軍をはじめとしてアメリカの同盟国で運用されている。敵防空網制圧の主要な手段の一つであり、地対空ミサイルのレーダー・システムに関連する電子送信装置から放射される電波を探知し、誘導する空対地ミサイルである。 AGM-45 シュライクおよびAGM-78 スタンダードARMの各ミサイルの後継としてアメリカ海軍が開発し、当初はテキサス・インスツルメンツ(TI)によって生産されたが、TIが軍事・防衛部門をレイセオン(RAYCO)に売却したときにRAYCOに生産が引き継がれた。 対レーダーミサイルは、敵のレーダーから放射される電波をたどって誘導するため、敵レーダーがミサイルの発射を察知して電波の放射をやめてしまった場合は誘導できなくなる。このため、HARMは敵レーダーにその余裕を与えないために従来の対レーダーミサイルよりも高速であることが求められた。プロジェクト名でもあったHARM(High-Speed Anti-Radiation Missile)は、このもっとも重要な要求からきている。その他、AGM-45の欠点でもあった探知可能なレーダー波の帯域改善(ブロードバンド・シーカー)、大きな弾頭、運用上の柔軟性と高い信頼性が求められていた。開発中に航空機の前方または後方のどちらからレーダー波を受けているのか区別できないなどシーカーや誘導装置の問題があったが、1980年の初めまでに問題はほぼ解消された。 HARMシステムは、最初にアメリカ海軍のA-6E、A-7E攻撃機およびF/A-18A戦闘攻撃機に搭載され、これらはHARMシステム専用コンピューターであるCLC(後述)を装備された。後に、EA-6B電子戦機にも搭載され、CLCとともにHARMコントロールパネル(HCP)が取り付けられた。また、F-14への搭載を目的としたRDT&Eへの組み込みも開始されたが、これは完了しなかった。アメリカ空軍は、HARMを搭載したSEAD専用機F-4G ワイルド・ウィーゼルを導入し、後にAN/ASQ-213 HTS(HARM Targeting System, HARM目標指示装置)後述を装備したF-16をワイルド・ウィーゼルとして使用している。AGM-88E型からは名称がHARMからAARGMに変更された。 ドイツ空軍が開発したトーネード ECR(Electronic Combat-Recce)は、テキサス・インスツルメンツのELS(Emitter Locating System、電波源測位システム)を備えており、F-4Gと同様にSEAD専用機としてHARMを運用できた。 なお、AGM-88の発射の際に、他機に無線で警告するために「マグナム(MAGNUM)」という符丁がコールされる〔OPERATIONAL BREVITY WORDS AND TERMINOLOGY〕。 抄文引用元・出典: フリー百科事典『 ウィキペディア(Wikipedia)』 ■ウィキペディアで「AGM-88 (ミサイル)」の詳細全文を読む 英語版ウィキペディアに対照対訳語「 AGM-88 HARM 」があります。 スポンサード リンク
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